Research[研究]
本学総合生産科学域(水産学系)・水産学部の近藤能子准教授が、第67次南極地域観測隊の研究者として参加することとなりました。長崎県からの参加は、観測船「しらせ」に乗艦する海上自衛隊員を除けば、2010年出発の第52次隊以来約15年ぶりとなります。
近藤准教授は、海洋の生態系を支える微量元素「鉄」の循環や生物活動との関わりについて研究しており、今回の観測では南極海における鉄の分布やその役割を解明するための観測に取り組みます。
南極観測に向けた研究テーマや抱負、観測船「しらせ」での研究活動や船上生活の様子などについて、近藤准教授より寄稿いただき、「活動短報」として連載でお届けします。
第2回では、観測活動の開始や普段なかなか知ることのできない観測船での生活について紹介します。(広報戦略本部)
#2 ― 観測活動と船上生活の様子 ―
第67次南極地域観測隊しらせレグ2は、2月26日にオーストラリア・フリーマントルを出港し、南下して南極海を航行・観測中です。出航直後の数日間は、南緯40度以南の気象が荒い海域を通過したため、船体が大きく動揺しました。乗り物酔いしやすい筆者は、これまでどの船に乗っても大抵船酔いに悩まされてきましたが、今回も例外ではありませんでした(写真:艦橋から見た波飛沫の様子)。しかし、航海も3月に入ってからは船体の動揺も落ち着き、合わせて体調も取り戻すことができたので観測準備は支障無く行うことができました。
さて、航海中のしらせ船内の生活ですが、CTD鉛直採水システムやプランクトンネットなど観測測器を活用した作業は日中のみとなります。通常生活の流れとしては、毎日6時に起床し朝食、11時に昼食、17時に夕食をいただいています。その後、18時15分より観測隊の全体ミーティングにて翌日の観測スケジュールなどを全員で確認した後、19時―20時に清掃・巡検(または火の元点検)が行われます。そして22時に消灯、という流れです。ただ、採取したサンプルの処理のために観測後も船内での作業は続くこともあります。食事の際のご飯・おかずは自分で欲しい分だけよそえるので(個数制限有り)、個人的にはその日の体調で合わせて配膳できるのがとてもありがたいです。また、しらせでは、イベントも開催されます。去る3月3日はひな祭りということで、皆でケーキの盛り付けなどを行い、その日の夕食で食べたりしました。
さて、本航海の海洋観測は、3月4日に外洋域側測点より始まりました。私が参加している鉄観測チームでは、この最初の測点から海水および粒子のサンプルの採取、船上ボトル培養実験含めたフルメニューを計画していましたが、チームメンバーはもちろんのこと、海上自衛隊乗員の方々、連携する乗船研究者の皆様に手厚いサポートをいただけたおかげもあり、観測メニューを無事に完遂することができました。大変良いスタートを切れたと思います。この観測を皮切りに、しらせレグ2航海はいよいよ東南極トッテン氷河周辺域の海洋観測は本格化。寒い気候での観測となりますが、怪我・事故・病気など無いよう、安全第一で進めたいと思います!

写真:艦橋から見た波飛沫の様子

写真:鉄観測チームが使用するCTD 鉛直採水システム
プロフィール:
近藤 能子
長崎大学総合生産科学域/大学院総合生産科学研究科 准教授
専門は海洋生物地球化学。これまで沿岸域から外洋域まで様々な海域において鉄を中心とした微量栄養物質の化学形態やその植物プランクトン増殖との関係を研究。
第67次南極地域観測隊では、トッテン氷河周辺海域で微量栄養物質添加培養実験などを行う。
2025年12月、本学の優れた若手女性研究者に贈られる「Y²(Y squared) Award ~Yell for Youth~」を受賞。
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近藤 能子 (Yoshiko Kondo) – マイポータル – researchmap


