Research[研究]

第8回 テクノロジーで豊かな社会を

研究 2024/11/21

本稿は2024年11月21日(木)長崎新聞掲載の寄稿原稿(ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社)を再編集したものです。

生活になくてはならない半導体

 私たちの生活の中でさまざまな半導体が使われています。
 「複雑な演算やAI処理を行うマイクロプロセッサ―」「膨大情報量を半永久的に記憶するメモリー」「カメラやセンシングに使われるイメージセンサー」「自動車の各種制御のためのマイコンやエネルギー供給/制御のためのパワーデバイス」「小型で高精細な画像を再生するディスプレイデバイス」ー。半導体製品は人々の生活の中でなくてはならないものであり、この先の未来に向けても重要な役割、大きな期待を担っています。

 このうち皆さんが普段から使っているスマートフォンやカメラ、自家用車、玄関のセキュリティー、病院での検査に使われているのがイメージセンサーになります。

社会に広がるイメージセンサーの活用

 センサーの性能は、感度やノイズといった主要特性によって決まります。感度が高いほど、暗い場所でも鮮明な画像を得ることができ、ノイズが少ないほど画像の品質が向上します。これらの特性は、特に低照度環境や高コントラストのシーンでの性能に大きく影響し、例えば、夜間の撮影や逆光のシーンでは、感度の高いセンサーが必要不可欠となります。

イメージセンサーの活用の広がり

 センサーは車載、医療、産業など各分野で重要な役割を果たしています。自動車では、周囲の状況をリアルタイムで把握するために利用され、障害物の検知や車線の認識を行うことで、交通事故のリスクが減少し、より安全な運転環境が実現します。

 医療分野では、内視鏡などに組み込まれ、患者の体内の画像を取得します。これにより、診断の精度が向上し、早期発見が可能になります。迅速な診断が行われることで、健康を守る手助けとなります。

 製造業では、検査員に代わりセンサーが自動的に不良品を検出するシステムが導入されています。これにより、製品の品質が安定的に向上し、コスト削減、生産効率にも寄与しています。同じく、農業分野でも、ドローンに搭載されたカメラが作物の健康状態をモニタリングし、効率的な生育を支援しています。

ディスプレーデバイスの進化がもたらす新たな世界

 ディスプレーデバイスの進化についても触れたいと思います。ソニーは、有機ELディスプレー技術を用いた高品質なディスプレーパネルを開発しています。情報表示や映像体験の質が向上し、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の分野でも新たな可能性が広がっています。没入感のある仮想空間を実現することで、例えば、教育現場では、VRを用いた体験型学習ができるようになり、また新しいエンターテインメントの世界が広がることも期待できます。

ディスプレーデバイス

テクノロジーの力で豊かな社会の実現を

 半導体技術は未来の生活や社会を変える力があります。イメージセンサーの高解像・高感度化が進むことでより高度な画像解析やリアルタイム処理に活用が期待されます。自動運転車では周囲の状況を正確に把握し、医療分野では迅速な診断と遠隔手術を支援します。また、スマートシティでは交通管理や監視システムに利用され、効率的で安全な社会の実現に寄与します。私たちの生活は一層便利で安全なものになるでしょう。

 この先も技術が進化することで、自分たちが思いもよらない新しい”何か”がきっとできるようになるでしょう。私たちソニーセミコンダクタソリューションズグループのミッションは「テクノロジーの力で人に感動を、社会に豊かさをもたらす」ことです。これからの新しい未来に向けて半導体にしかできない楽しく快適な世の中を創っていきます。

執筆者情報

ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社
副社長 兼 デバイス開発センター長

松野 知之(まつの ともゆき)

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