My memorable place
[私の思い出の場所]

おこのみむら 池田廣美さん 鉄板を挟んで笑ってばかりの楽しい38年

 創業は昭和61年。当時、長崎でお好み焼きと言えば、関西風か駄菓子屋さんで食べていた一銭焼き。広島風のお好み焼きの専門店はほとんどありませんでした。私は長崎出身なので、広島に遊びに行った時にこのうすーく伸ばした生地の上に、野菜や肉をのせてひっくり返す食べ物はなんだ?どうやって食べるんだ?と首をかしげました。それが広島のお好み焼きとの出会いです。食べるととても美味しくて、2年後にサラリーマンを辞めて広島の店に修業に入りました。

 それから半年後の6月に店をオープン。近所のハンバーグ店のマスターから、「ここは良い場所だよ」と教えられた立地でしたが、結果は大正解でした。長崎大学の北門を出て、花丘町方面へ真っすぐ歩けばたどり着くので、長大の学生さんたちが大勢来てくれるようになりました。
 長大生はみんな面白い子ばかりですよ。例えば、夕方にシングル(麺1玉)を食べるとお腹がすく、ダブルを食べると寝るまでもつ、トリプルを食べると朝まで大丈夫という学生がいました。その日の懐具合で麵の量を決めていたようです。またある日は、麺を何玉食べられるか挑戦した工学部の学生もいましたが、9玉食べて、その後は「しばらく食べなくていい」と店に来る回数が減りました。

広島風のお好み焼きを美味しく味わうためには、焼きたてを食べるのがおすすめ。鉄板の前が店一番の特等席です。

 アルバイトは長大生がメインです。いつもお金に困っていた学生が、「肉を食べたい」と言って始まった、アルバイト同士の誕生日会は20年以上続く伝統になり、私が提供する資金で好きなものを買ってきて皆でお祝いをします。店のインスタグラムもアルバイト生が始めてくれましたが、フォロワーが1万人になるまでは自分は見ないと伝えています。

たっぷりのキャベツと麺が入った広島風お好み焼き。


 卒業生の皆さん、今でも鉄板の前に立っている時は笑ってばかりいるので、38年も時間が経った感覚がありません。変わらず楽しく商売しています。ぜひ、インスタグラムを見て、フォロワーになってくださいね。