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[落語研究会]1人じゃない、繋がる思いと未来への新たな一歩

サークル 2024/03/01


これまで落語と触れ合う機会はなかったものの、落語研究会が創設50周年を迎えたと聞き、この機会にぜひ取材したいと思いました。代表の馬渡遥(高座名:麗し亭千春)さんにお話を伺いました。

まずは落語を始めたきっかけを教えてください。

馬渡さん 両親ともに学生時代から落語研究会に所属していました。今でも仕事の傍ら落語をやっています。私も物心が付いた頃から落語が身近にあり、自然と生活の一部になっていました。

村瀬さん 落語研究会は創設50周年を迎えたそうですね。入部して感じたことはありますか。

馬渡さん やっぱり皆さんに注目される中、1人で高座に上がり笑っていただいた時は、幸せだと感じます。でも実は今、メンバーは私1人だけしかいません。なかなか若い方には受け入れられず、古臭いと思われているのかもしれません。1人で笑いを取れる快感はとても気持ち良いですよ。

村瀬さん 1人で活動するのは大変ですよね。

馬渡さん はい。でも、たくさんのOB・OGの方に支えられています。伝統のやわた寄席も、長崎にいらっしゃる先輩方のサポートのお陰で開催できましたし、昨年12月には、創設メンバーを長崎にお迎えした集まりにも参加しました。

代表の馬渡遥さん(環境科学部)。鮮やかな羽織は代々、部に伝わるもの。部室には、着物も揃っているそうです。
年2回ペースで開催している長大落語研究会「やわた寄席」。昨年12月の第97回やわた寄席では、馬渡さんが口上を務めました。
50年前のメンバーが長崎に集まられたのですか? それは凄いことですね!

馬渡さん そうなんです。来られない方もおられましたが、20歳台から70歳台まで、多くの先輩方にお集まりいただきました。

村瀬さん どのようなお話が印象に残っていますか。

馬渡さん  創設に至るまでのエピソードです。当時からサークルを新設する場合、メンバーを一定数揃える必要がありました。創設メンバーの鶴屋無学(高座名)さんが、お友だちを誘って集まったのは3人まで。困っていたところへ、教養部(現在の教養教育)の黒板に「落研を創ろう!」という書付けがあると情報が入ったそうです。無学さんはすぐにその書付けの横に「我らも同じ志の者、一度会いたい」と書置きしたところ、それを見た方々が集まり8人で創設に至ったそうです。

村瀬さん 今では、考えられないエピソードですね。

馬渡さん  はい(笑)。でも、そうやって一生懸命このサークルを創っていただいて、本当に感謝しています。50周年記念イベントでは、日頃から私を支えてくれている先輩や、創設時の先輩方の温かい思いを感じました。たくさんのお話を聞く中で、 “自分は1人じゃない”と強く感じました。伝統ある落語研究会を自分の代で終わらせたくない、という思いに押しつぶされそうになっていた私に、先輩方は“自分が楽しいと思う落語だけをやっていって欲しい”とおっしゃいました。その言葉に涙が止まりませんでした。

50周年記念イベントでは、創設時のメンバーが長崎へ。知る人ぞ知るエピソードなど、思い出話に華が咲きました。
50周年記念イベントでの部室見学
学内を回る落研OB
林田さん(左)と落研OBの三遊亭らっ好さん(右)
部室の本棚
今後はどういった活動をしていきたいですか。

馬渡さん 気負わず楽しく落語をやりながらボチボチ進んでいきます。もちろん新メンバーも集めたいです。初詣で大吉を引いたので、なんとかなるでしょう(笑)。後輩が入ってくれたら、一緒にお礼参りに行きたいと思います。


面白がる気持ちが良い落語をつくる ー落研OB 林田繁和さんー

─裏方として、やわた寄席の運営をサポートされていますが、これまでもOBの皆さんが、手厚くサポートしてきたのでしょうか。

林田さん いえ。落語は聞きに行きますが、運営自体は学生だけで行います。しかし、さすがに千春(馬渡)さん一人では難しいので、昨年7月の寄席からサポートしています。

─部の存続が危ぶまれています。どのような心境でしょうか。

林田さん 創設メンバーと確認し合ったのは、部がなくなったら寂しいけれど、伝統を守らなければいけないという責任を、彼女一人が背負う必要はないということでした。4年しかない大学生活ですから、楽しんで欲しいと思っています。

─大学から始めた落語が、林田さんのその後の人生の原点にもなったそうですね。学生の皆さんに落語の魅力を伝えるとするならば、どのようなところでしょうか。

林田さん 古典落語には著作権がありません。面白がる気持ちと扇子と手ぬぐいと座布団さえあれば、成立するシンプルな芸ですし、お客さんの想像力を借りながら成立させるところも、テレビや演劇とは違う面白さだと思います。人前に立つきっかけにしたい方や、誰かを笑わせたい方にとって、落語は入りやすい芸ではないでしょうか。大波が立つように、客席で笑いが起きた時は本当に感動しますよ。

林田繁和さん(高座名:長楽亭凡太)
工学部出身。落語との出会いをきっかけに、アナウンサーの道へ。NBC長崎放送の看板アナウンサーとして、長崎くんちの中継を行うなど活躍。社会人による落語の会「長崎あざみ落語会」メンバー。
学生広報スタッフ【Cho査隊】NKスターズ  教育学部4年 村瀬晴香さん

馬渡さんの“自分は1人じゃなかった”という言葉が印象的でした。このインタビューを読んだ方の中から、落語に興味が湧いて、伝統のサークルの門を叩く方が一人でも出てくることを期待しています。

落語研究会

※この記事は学生広報スタッフが執筆しました。