Feature[特集]

子どもたちが生きやすい社会をつくるために

特集 2023/04/27

岩永竜一郎教授は、作業療法学の中でも発達障害児のリハビリテーションに関する研究や人材育成など、輻広い分野で活躍。
また、長崎大学子どもの心の医療・教育センターの副センター長を務め、教育機関への訪問支援や専門戦を対象にしたeラーニングの講義にも力を注いでいます。

そもそも発達障害の分野で、作業療法士はどのような役割を担っているのでしょうか。

「発達障害のお子さんには、教師、保育士、医師、保健師、言語聴覚士など、さまざまな専門家が支援に当たります。作業療法士もその一員として、主に感党や運動の面から介入します。全体で見ると発達障害を専門としている作業療法士はレアな状況ですが、長崎大学の保健学科は発達系の授業や実習が充実しているので、発達領域に進む卒業生の比率は、全国の作業療法士養成校の中でトップなんですよ」。

発達障害では、早期発見がその後の改苦につながると聞きます。

「そうですね。特に自閉症のお子さんは、二歳ごろから治療を始めると効果が見られますし、症状が軽くなる確率が高くなります。一定の検査ステップを踏んで支援につなげていきますが、以前よりもグレーゾーンのお子さんが増えてきたため、より正確に評価できるツールが求められています。私の研究室では、二年後の実現を目指して、旧来のものに代わる最新の検査ツールを開発しているところです。
また、保健学科内で発達障害のお子さんや親御さんを対象としてセラピーやトレーニングも行っています」。

この日、保健学科内で発達障害のお子さんとご家族にトレーニングを実施。岩永先生が子どもたちと一緒に遊びながら自然にとレーニングをします。
おもちゃを使って手先の動作がスムーズになるよう促していきます。

早期発見から支援まで、多職種による連携が求められるのですね。

「発達障害は、社会適応におけるさまざまな問題につながっていくため、一人の専門戦の支援のみで子どもたちを育てていくことは困難です。引きこもりや往困、屈待など、社会で起きている問題は発達障忠と関連しているケースが少なくありません。私は、発達障害の方々が生きやすい社会をつくることを大きな目標としています。興味を持ってくれる学生が増えてくれればと思いますし、私の思いにつながるような仕事をしてくれる卒業生たちが頑張っています。とてもうれしいですね」。

岩永 竜一郎 教授 / IWANAGA Ryoichiro

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科(博士課程)修了。茨城県立医療大学助手を経て、長崎大学に着任。平成28年より、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授、長崎大学子どもの心の心の医療・教育センター副センター長

担当講義

発達障害作業治療学(保健3年)/ 発達障害支援特論(保健3年)/ 治療作業学(保健2年)

岩永先生から一言

作業療法士の分野は主に、身体障害、精神障害、発達障害の3つ。全国の養成校の中でも発達系の実習を必修にしているのは、本学の保健学科作業療法学専攻が唯一ではないでしょうか。