Saiyu Fund
[西遊基金]

仲間たちが支えてくれた宝物のような4年間

西遊基金 2025/03/03
1984年薬学部卒業 内海 美保さん

  実家が薬局を営んでおり、薬剤師になるために長崎大学の薬学部へ進学しました。ところが、数学と化学が大の苦手だった私。なんとか入学は果たしたものの、大学での勉強は本当に大変でした。当時の薬学部は4年制で、卒業までクラスの顔触れは変わりません。同級生の中には、授業料から生活費まで自力で工面している人もいるなど、育ってきた環境はバラバラでしたが、みんな仲が良く、誰かの為に手を差し伸べることを厭わない人ばかりでした。
 仲間に支えられながら4年生になった私は、実験と卒論、国家試験の勉強に取り組む多忙な日々に行き詰まり、誰かと目が合うだけで涙がこぼれ落ちるほど追い詰められていました。そんな中、国家試験の合否を予想していた先輩たちの「内海は大穴だから大丈夫。落ちても気にするな」という言葉で大いに発奮、国家試験に合格し薬剤師になることができました。現在の薬局に勤めるようになって33年が経ちます。そして、60歳を過ぎた現在も地域の皆さんのお役に立てればと日々奮闘しています。
 今の私があるのは、大学時代に支えてくれた同級生や先輩たちのおかげです。勉強は大変でしたが、文化祭やゼミの旅先で撮影した写真を懐かしく見返すと、どれも本当に楽しそうに笑っています。
 かけがえのない出会いと経験の場を与えてくださった長崎大学に、できる今こそ恩返しをしたい。それが今回、西遊基金に寄附を決めた一番の理由です。長崎大学には少子化の波を乗り越え存続して欲しい。そのためにも世界へ羽ばたく人材の育成に僅かではありますが、活用して頂けると嬉しいです。
 実は、取材のお話をいただいた時に最初はためらいましたが、これを見た卒業生が学生時代を振り返り、子や孫のような学生の未来に夢を託して応援するきっかけになればとの思いでお引き受けしました。
 寄附後、永安学長からお電話があり「時々でいいので長崎大学のことを思い出してくださいね」と懐かしい長崎弁でお言葉を頂きました。宝物のような4年間を過ごした母校のことを、私は誇りに思っています。これからも思い出とともに心の中にあり続けます。

薬学部生だった頃、級友の皆さんと一緒に撮影(後列左から5人目の眼鏡をかけた女性が内海さん)。
クラスオリジナルのユニホームを着用しており、仲の良さが伝わってくる一枚です。

内海さんは広島県のご出身。広島県福山市を中心に、県内外でチェーン展開している「サン・メディカル薬局」に勤務されています。大学時代には長崎大水害を経験。住んでいたアパートが水没しそうになった時に近所の人に助けられ、九死に一生を得たそうです。