My memorable place
[私の思い出の場所]

レストラン&カフェ ひいらぎ 北川昭和さん 名物ママから受け継いだ65年の歴史

 深夜までステーキやトルコライスが食べられるレストランとして、1960年に創業しました。今年で65周年を迎えます。創業者である私の母は、豪快かつ強烈な個性の持ち主でした。卒業生の皆さんの中には、「名物ママの洗礼を浴びた」という方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

若かりし頃の母・静和さん。

 今となっては笑い話かもしれませんが、母が残した逸話の中にはこんなエピソードがあるんですよ。ある日、医学部の学生さんが店内で勉強をしていました。集中するあまり、時間がたったことに気付かなかったのでしょう。見かねた母は照明を落として、皮肉たっぷりにこう告げたのです。「目が悪くなるわよ!」。

浜口商店街のメインロードに店を構えて65年。
こちらは懐かしい改装前の店舗。

 店は30年ほど前に私が引き継ぎました。現在はコーヒー豆の焙煎やオムライスの調理など一人で切り盛りしていますが、アルバイトがいた頃は長大生の皆さんにお世話になっていました。医学部、薬学部、経済学部などいろいろな学部の学生さんが働いてくれましたが、早朝にイベント出店を控えていた前夜、寝坊しないように店の長椅子で寝泊まりしてくれた歯学部の学生さんのことはよく覚えています。また先日は、助教になった元アルバイト生がご家族を連れて遊びに来てくれました。こういったささやかな出来事が、日々の励みになっています。

SNSを通じてうわさが広がった開運オムライス。
「県外や海外のお客さまが増えました」と北川さん。

 店がある浜口商店街は、思案橋に次ぐ長崎第2の繁華街として活気あふれる町でしたが、コロナ禍を境にめっきり人通りが少なくなったように感じます。卒業生の皆さん、長崎を訪れた際にはぜひ浜口へ。時が止まったような店内で学生時代の思い出に浸ってください。おいしいコーヒーとオムライスを用意してお待ちしています。

店主の北川昭和さん。お店のカウンターにて。